たのしい電子管楽器のつくりかた
管楽器の形をした電子楽器『YWinth』を自作してみました。一般的にはウィンドシンセサイザーなどと呼ばれていると思います。 キーに指をあて,マウスピースから息を吹き込むと電子音を奏でます。
この記事では,作った楽器の紹介と,その動作原理の説明を行います。
まとまりのない文章ですが,読んでいただければ幸いです。
動画
こんな感じの楽器です!
動機
管楽器にあこがれがあったのですが,今更始めるのもなあ... と,5年ほど思っていたのですが,自分で楽器を作ってしまえばいいんだ!となって,作りました。
ウィンドシンセサイザーはポップインストゥルメントバンド『T-SQUARE』で使用されているAKAIの『EWI』が最も有名だと思います。 EWIになんとなくあこがれがあり,EWIを買って練習しようかと思ったのですが,吹くだけでは面白くないので,勉強をかねて自作してみることにしました。
デザイン
構成
ブロック図
ハードウェアの構成です。
内部構成
よこからみた図です。
マウスピース
Fusion360で設計し,友人の3Dプリンタで印刷しました。息は下側に抜ける構造になっています。
ブレスセンサ
ブレスセンサは大気圧センサを使用しています。 起動時に大気圧を測定し,これをオフセット値とします。 息を吹き込むとマウスピース内の気圧が上がるため,これを検出し,音量を変化させます。
販売ページ: LPS22HB 【防滴・防塵】気圧センサモジュール(I2C/SPIタイプ) - LPS22HB - ネット販売 (ストロベリーリナックス)
タッチセンサ
キーには静電容量式タッチセンサを使用しています。 センサに触れることによる静電容量の変化を,RC回路の過渡応答で検出します。 プリント基板のパターンとしてセンサをつくっています。
参考資料: ELM - タッチ・センサの実験 (ChaN氏)
音源(シンセサイザ)
音源にはヤマハ製FM音源モジュール『YMF825』を採用しています。レジスタに音色,音階を書き込むだけで簡単に音を出すことができます。 FM音源とは,デジタルシンセサイザーの方式の一つで,正弦波を出すオペレータを複数接続することで, さまざまな音色を作り出すことができる特徴があります。(詳細はググってください) 古くは,ヤマハのキーボード(DXシリーズ等)や,パソコン(NEC PC88シリーズ等),携帯電話などに使われていた方式です。 現在はサンプリング音源の普及によって下火になっています。
FM音源の仕組み:FM¹¹Ìîbm¯ 参考資料: YMF825Board紹介 (YMF825モジュール公式ページ)
プリント基板
プリント基板はKiCadで設計し,PCBgogoで発注しました。 Fedexによる配送で,注文から1週間程度で到着しました。早いです。
プリント基板試作・製作・製造のPCBGOGO.JP【中国基板試作メーカ】
マイコン
マイコンはAtmelのAVRマイコン『ATmega1284P-AU』を採用しました。 特筆すべきことのないごく普通の8bitマイコンです。 効率的なデバッグのため同時にAtmel-ICEを購入しました。JTAG経由でデバッグができます。 ブレークポイントを張ったり,変数をWatchしたりしながら楽しく開発しました。
ただ正直な話,もう8bitの時代ではないです。素直にSTM32を使った方がいいと思う。安いし。
PCアプリケーション
YWinthとPCを接続して,音色をいじったり,運指をいじったりするアプリを開発中です...
野良Maker
岐阜県で行われた大垣ミニメイカーフェアというイベントに本機を持参しました。 出展者でもなんでもなかったのですが,会場で吹きまくっていたところ,そこそこ好評でした。 来年のMFTには出展したいと考えています。
かんそう
やっぱり,音が出るものをつくるのは楽しいと思いました。 楽譜が読めず,楽器経験は小学校のリコーダーくらいの自分ですが, 慣れれば意外と吹けるもので,楽器が好きになりました。
楽器作りは楽しいので,今度も作っていきたいと思います🌎